ハーツオブアイアンⅡ ドゥームスデイ(パラドクスエンターテイメント、PC)

 久々に三週間も遊び倒した。ここしばらく、寝ずにこればっかりやっていた。
 第二次世界大戦を世界各国の視点から追体験するストラテジーゲーム。世界各国、というのがアオリではなく、本当に世界170ヶ国を選べるのが恐ろしい。アルバニアルクセンブルクのような、生き残ることすら難しい国や、ニュージーランド南アフリカといった英連邦の中小国、中国の各軍閥まで選べて、各国そぞれの立場でに大戦に参加する(あるいは参加しない)ことができる。結局のところ、8大国(米、独、ソの三大超大国+英、仏、日、伊、中)の動きが展開を決めることになりがちではあるが。
 基本的には州(プロヴィンス)の奪い合いであり、国取り合戦。プレイヤーが出来ることは、技術の開発、部隊生産の指示と、各軍団への攻撃・移動・撤退命令、領地内のインフラの整備ぐらいなので、基本的に平時はヒマで、戦争が始まると非常に忙しくなる。『信長の野望』の、内政を簡略化して、代わりに戦争を複雑化した感じ、といえば近いか。
 実際の史実や世界地理を知っていると、「難攻不落のマジノ線」とか、「英領ジブラルタルうぜー」とか、「インパール作戦でジャングルの中を行進中」とかが実感できる。ソ連と中国の人海戦術がシャレにならんほど強力なのも。叩いても叩いても新手が出てくるってどういうことだよ! 戦いは数だよ、兄貴!
 というわけで、ソ連でヨーロッパを赤く染めたり、フランスでひたすらドイツ軍を防いでみたり(マジノ線をベルギー国境まで延長すれば比較的簡単。ついでにイタリアを占領してみたり)、アメリカで一兵も失わずにヒトラームッソリーニ東条英機スターリンを追放してみたり(スパイ活動で「クーデターを画策」という指示があり、大量の金を使うことで(低確率で)相手国の政体をひっくり返すことができる。アメリカぐらい金のある国でないと不可能だが)、トルコでソ連に噛み付いてみたり(即死しました)。
 ようやく、ドイツで「マジノ線を正面突破」「ソ連を日本と挟撃して条件付降伏」「英、仏の海外領土まで占領して併合」「アメリカ上陸戦に成功して(核爆弾を落として)アメリカを無条件降伏へ」という、ほぼ完全勝利を達成したので、しばらく時間を置くことにした。ドイツは1939年からずっと戦争状態なので非常に疲れた。ちなみにアメリカを降伏に追い込んだのが1948年8月。9年間ずっとどこかで戦闘を行っていたことになる。
 疲れた原因を考えるに、枢軸各国のAIがあまり良くない(というかアホ)ので、前線を自力で構築しないといけないのが問題だったのかもしれない。結局、最後まで役に立ってくれたのは、占領後独立させたインドとウクライナだった、というのも複雑な気分。本来の枢軸各国は役に立たなかった。ま、イタリアとかヴィシーフランスがまともに戦争してくれないのも、史実どおりといえば史実どおりだがね!(有志が作ったMODを入れるとずいぶん良くなるみたい)
 ふがいない同盟国にいらいらしながら、米ソの圧倒的な物量を相手に、機甲突撃で戦線を撃破していくドイツプレイは、疲れたが非常にやりがいがあった。このゲームの醍醐味を味わいたいのであれば、ドイツがお勧めではある。ただ、戦線が複雑化しやすい上に、独力でやらなければならないこと(資源の調達とか研究開発とか)が多いので、初めてのプレイには向かないかも。二回目以降がお勧め。
 この後は、ドゥームスデイシナリオ(1945年枢軸降伏後の第三次世界大戦)をプレイするとか、特殊なボーナスを持つ自由フランスでド・ゴールに続いてみるとか、中国共産党で中国統一とか、ペルーで南米統一とか、いろいろできることは残っているが、また今度の機会に。
 ある程度現代史を知っていて、軍事に興味がある人なら、かなりお勧めできる作品。
 ただし非常に廃人向け。