西尾維新『不気味で素朴な囲われた世界』(講談社ノベルス)

読了。
『きみとぼくの〜』と比べるとパワーダウンは否めない。また、「ミステリ小説なら云々、でも現実には云々」の言い回しが普段に増して多かった気がする。まるで流水。8月にJDCトリビュートを書いたせいだろうか。
もう一ひねりあれば、『クビシメ』には及ばなくても『サイコロ』よりは上手く落とせんじゃないかと思うと少し残念。小説の1/4を機械トリックの解説なんぞに使わなければ、もっといい線行ってたと思うんだけど。奇想天外な機械トリックよりも、反則スレスレの叙述トリックの方が得手で、それ以上にキャラクタライズしておいてそれを裏切るのが大好きなのではなかったのだろうか。『きみとぼくの〜』の方が戯言廻しが上手だった(『きみとぼくの〜』は西尾作品の中でもトップクラスに戯言廻しの上手い作品だと思うが)。
最大の問題は、旅行中に読もうと思ってたのにあっさり読み終わってしまったことだ。どうしよう。