誕生!中国文明(東京国立博物館)

 終了間際に駆け込みで行ってきた。平日夕方というのに、かなりの混雑。最終週だったからか。
 内容は、中国河南省で発掘された遺物の展覧会。古いものは紀元前5000年ぐらいから、新しいものは北宋ぐらいまで。目玉は展覧会のタイトルにあるように、黄河文明が発生した古代の文物。特に、二里頭遺跡からの出土物はなかなかレアである。
 「第一部 王朝」「第二部 技の誕生」「第三部 美の誕生」とテーマ別の展示がなされていたが、第一部とそれ以外が全然違うまとめかたなのが非常に気になった。目録の説明文などを見ると、中国側から借りるときに色々気を遣うことがあったのだろうと察する。あと、漢梁王の金縷玉衣は、見るの何回目だろうか。日本で中国文明展をやるたびに来ているような気がする。
 一点、気になったのが青銅器の並べ方。モノ自体はかなり貴重な文物なのだろうけれど、一つぐらい、レプリカを展示しても良かったのではないか。錆びていない青銅は、赤銅色でも、ましてや青色でもなく、ピカピカの金色で、それゆえ古代の人が儀礼用に用いていたのだ、ということを、直感的に分かる展示にすると、より理解が進んだと思う(試しに十円玉を酢で磨いてみると、どんな色だったのかわかるはず!)。
 見に来ている人々が楽しそうだったのは、むしろ第三部の装飾具のコーナー。精緻な技巧を凝らした玉製品が並んでおり、照明の当て方で、きらきら輝いて見える。玉製品だけでなく、金製品も大量に並んでいて、見栄えがした。ミュージアムショップでも、陶器とか工芸品を売るより、プラスチックや金メッキで安く作ったレプリカを並べれば、飛ぶように売れたんじゃないだろうか。
 予想していたよりはずっと、展示方法には凝っていたのに、説明が少なく、しかも専門的すぎたのは残念かもしれない。演出に凝ろうと思えば、説明パネルが大きいと邪魔だし、短い文章で要点をまとめれば、そりゃ、専門用語の羅列になってしまうのは仕方ないのかも知れないが。東京では終わってしまったけれど、次は九州・京都でもやるらしいので、近場の人は行ってみると意外と面白いかも知れない。