「雲のむこう、約束の場所」(監督:新海誠)

もゆ先生の家で徹夜で「マグナカルタ」をやった後、渋谷のライズXへ移動。上映の一時間以上前にチケット売場に到着するも、ずらっと行列が。みんな新海観に来たのかよ! と仰天してみる(実際には「恋の門」が目当ての人も多かったけど)。なんともはや、渋谷=サブカルを痛感(自分も含めて)。
40人席の30番目ぐらいで、どうにか初回上映に滑り込む。映画館はクラブを改装したものらしく、二階席がある。繰り返すが、全部で40席しかないのに、である。やたらと垂直方向に長い劇場だ。
映画自体は、期待していたよりも良かったとさ。セカイ系だし。二人の少年と一人の少女の友情と愛情のはなしが、戦争の帰趨とか、セカイの滅亡とかと直截的にリンクしてしまう、という設定は文字通りセカイ系
ほしのこえ」が完全に個人制作だったのに対して、「雲のむこう〜」は(少数とはいえ)外部スタッフとともに作られた作品だ。それでも、絵のクォリティや統一性はほとんど損なわれていない。光の使い方もうまいしね。
彼らが目指す先である「塔」の造形も悪くない。明らかにバランスが悪そうで、なおかつ空の青にくっきりと映えている。ぷい君が、巨大建築の格好よさを表現できていない、と指摘しているのは、ある意味正しくて、多分、「塔」のディテールを描こうとすれば、バランスやその他諸々の(例えば、侵食されてしまった地面から、塔自体はどうやって立っているのか、とか)矛盾が露出してしまうのではないかなあ。と。
この「塔」だけではなくて、全体的に漂うこの「不自然さ」あるいは「人工的な雰囲気」(id:sayumeはそれを背景美術の中に見出していたが)こそが、実は「セカイ系」の中心にあるのではないだろうか。
不自然さ、については、稿を改めて続く、かも。