ロバート・ファン・ヒューリック『観月の宴』(ハヤカワミステリ)(ISBN:4150017441)

ディー判事シリーズを追っかけてみているので。初版が出たのは1968年と、今から30年以上昔のことなのに、未だに新鮮味が失せていない。
隣の県を訪れた狄判事と、彼を事件に引きずり込む親友の羅知事のコンビが、一件関係なさそうな二つの殺人事件に挑む。事件自体よりも、中国の時代背景を踏まえた舞台設定と、漢文風の格調高い和爾桃子の訳文が素晴らしい。史実を知っているかどうかで評価が変わるかも知れないのですが。
見所がミステリではなく、設定ってことは……実はファンタジー