CLANNAD(PC,Key)

 総括の続き。昨日で終わらせるつもりだったのだけれど、ことみシナリオの最後の演出について、どうしても語りたくなってしまったので。超ネタバレ、要注意。反転させて読んで。

 エピローグ直前のトランクの話で鳥肌が立った。それまでの複線を一気に回収するカタルシスと、手間を惜しまず込めた演出が合致して、他では見られない圧倒的「Keyらしさ」を醸し出していた。
 いやはや、あの涼元悠一を甘く見ていました。『Air』の時はまだ「シナリオは上手だけど演出がイマイチ」な作家上がりの新人だったはずなに。杏や椋を他のシナリオと齟齬しない形で上手く使いこなしているところとか、『Air』の時と別人のようですな。杏シナリオの杏より、ことみシナリオの方がぐっとくる。っと、何で杏にばっかりこだわりやがりますか俺。
 別に、渚も悪いヒロインじゃなかったと思いますよ。アホ毛出てるし。ただ、あまりに「頑張っている」ことを強調するものだから、ちょっとメンドクサイ感じがしただけで。
 他には智代と陽平、芳野が良かったですね。智代は、まあ、お約束なので。むしろ、他のキャラクターのシナリオで見せる、主人公を取られて少し寂しそうな物言いが最高。陽平の最大の見せ場は杏・椋シナリオのアレでしょうね。親友キャラの一番おいしいポジションですから。芳野はネタセリフが傑作。
 有紀寧と美佐枝さんは、出番があまりないので可もなく不可もなく。風子は……あゆにしか見えないのですが。うっとおしいところも含めて(名雪派なので)。あと、椋の悪人っぷりはさすがに引く。勝平とか、当て馬以外に何のために登場したのか分からないし。



 AfterStoryについての感想も、忘れそうなのでメモっておこう。
 娘と旅行するだけで主人公が改心するのは唐突じゃないのか、と思わなくもないが、あれ以上主人公がぐだぐだしていても読むのが辛いだけなのでしょうがないかもしれない。
 父―子の関係をいくつも見せることで、「家族」というテーマを明確に表現しようとしていて、それゆえ、光の玉の最後の二つが朋也の父である直幸と、渚の父である秋生から手に入るようになっている。分かり安すぎる構成。が、最終盤でこんな風にストレートに攻められると、白けるか感動するかどっちかしかなくなってしまう。適当に「まー、そういう見方もできるかもね」と言って逃げることができなくなってしまう。どうにも、やりにくい。
 いいテーマだと思うし、最後はやっぱり、感動しなかったと言えば嘘になるし、なんだかんだ言って、ベタ誉めなのは変わらないのだけれど、その感動の何割があの非常に非常に優秀な音楽に因るものなのかを考えると、あまりお話自体を誉めることはできないのかなぁ、と思ったりもする。