ブライアン・ラムレイ『タイタス・クロウの事件簿』(創元推理文庫)(ISBN:4488589014)

 予告どおり、帰国してすぐに購入→読了。まさにデモンベインの元ネタ。
 邦題からも推測できるように『シャーロック・ホームズの事件簿』のような短編集(原題は全然違うが)。ただし単純な犯罪事件ではなく、クトゥルー神話に基づいた怪奇事件である。クトゥルーの前提知識なしでも普通に読めるので、あまり気にする必要はないだろうが。というのも、邪神やその眷属との戦いを描くのではなく、クロウが戦う相手はあくまで人間。弱々しい人間が理不尽で圧倒的な力に抗う姿ではなく、互角の力をもつ人間同士が相手の裏を読み合う緊張感こそが読みどころでしょうか。
 続編(発表年から見れば前作になるのだが)の『地を穿つ魔』も読んでみようかと思う。
 ところで、固有名詞の音写が『タイタス・クロウの事件簿』と「デモンベイン」でいくつか異なっていたのだが、デモベの脚本家は原書で読んだのでしょうか。すげえな。