「To Heart2 Xrated」(Leaf,PC)

 昨日の続き。音楽の話。
 ToHeart2のBGMの半分は、前作ToHeartのものと同じだ。他にも、TV版の主題歌などまでアレンジされて使われており、オリジナルの曲はそれほど多くない。直接のつながりもないのに、ここまで前作の曲を流用している続編というのも珍しい。これを手抜きだとか、前作に寄りかかった安易な作りだと非難するのは簡単だが、むしろ、演出の一環として、こういうのもありなのだと積極的に評価したい。
 昔やったゲームの音楽というのは、意外と耳に残っているものだ。たとえば、日本人なら誰でも知っているという、スーパーマリオの1-1の曲。あるいは、ボコスカウォーズのテーマ(歌詞付き)。個人的には初代ツインビーの1面の音楽。普段は思い出さないが、聞けばあの曲だ、とすぐに思い出せるだろう。初代ToHaertの曲も、多くの人が知らないうちに記憶しているはず(特に、初めて買ったエロゲーが党派と。
 そして、昔の曲を思い出すときには、曲だけを思い出すのではなく、その曲が流れていたシーンや、キャラクターまで一緒に浮かび上がってくる。しかも、文字や絵といった視覚的な要素よりも、耳から入ってきたほうが、様々な要素を同時に思い起こすことができる(ような気がする)。「DOTABATA」の音楽を聴くと、モップを持ったマルチの姿が瞼の裏に浮かんでしまう、みたいな。
 ToHeart2では、そんな過去の記憶を現在のゲーム中とオーバーラップさせることで、プレイヤーに何がしかの感情を起こさせるような演出が見られる。こちらが勝手にオーバーラップさせてるだけだろ、と言われたらそれまでだけれど。でも、ある程度は、やはり考えてるんじゃないかと思うけどなぁ。
 意図的かどうかはともかく、この演出は、ToHeart2の少しノスタルジックで甘酸っぱい雰囲気に良く合っていた。エピローグで「それぞれの未来へ」が流れると、それだけでしんみりした気持ちになってしまうわけですよ。前作が傑作だったから、というのは当然だし、プレイヤーのすべてが前作をやっているわけでもない以上、こんな演出はあくまでオプションでしかないので、あくまで一部の個人的な意見でしかないけれど。
 前作のキャラクターを出さないで、音楽だけで存在を匂わせるって演出は、粋でスマートなやり方だったから、非常に強く印象に残ったのでありました。音楽って不思議だなぁ。