劇場版クラナド(出崎統監督)

 「劇場版Air」の続編ともいうべき作品。見所は「だんご大家族」に節がついて歌いまくるところか。あと、クラナドはやはり春原がいないと話が進まないのだと痛感した。やる気ナシの朋也と天然ボケの渚だけでは、話が進まない。特に今回は、もう一人の狂言回しである杏が、なぜか智代とセットでしか登場しないので、春原のポジションは非常に重要だった。ともかくも、春原が出てくると熱血するのだ。見栄えのするアクションシーンも、ほとんどが春原がらみ。中でも、春原vs公子先生のシーンは良かった。ていうか、公子先生ってそんなキャラだっけ?
 反面、色んな意味で時間が足りてない感じ。アフターストーリーまで含めた話の全体を2時間以内に収めようという試み自体、土台不可能な話だった。本筋以外を切り捨て、本筋まで大幅に圧縮したせいで、ところどころシーンの繋がりに無理が生じていた。生徒会長選挙の話は何処に行ったんだ?
 あと、(ネタバレ注意)そもそも元のゲームが「複数の平行世界を全て見ること」「一度バッドエンドを経験すること」を経ないと、大団円を迎えられない構造になっているので、映画向きでなかった。渚が死ぬ→友人心配する→主人公立ち直る、なんて友情話を期待している奴はほとんどいなかったんじゃない?(ネタバレ終了)
 シマモト先生の言葉じゃないけど「無気力な主人公が理由もなく女の子に好意を持たれて、さらに周囲の人間にも無条件で愛される話っていかにもニートが好きそうですよねー」は正しい。