ピカソ&クレー展(Bunkamura)

 なるほどクレーだけだと客が呼べないので、ピカソの名前を借りたのね。
 キュビズムよりも、むしろシュールレアリズムの絵画が展示されていて、それはそれで楽しめた。日曜日なのにあまり人が居ないのも良いところだった。クレーの絵は、陰翳があるのに妙にコミカルで、キース・へリングらの現代ポップアートとすごくよく似ていると感じたのだが、時代的にも距離的にも離れすぎているので多分関係ないのだろうけど。
 それにしても、15分で描けそうな天使の絵で、あれだけ大量のグッズを作ってしまうミュージアムショップを見るにつけ、こんな様子は描いたクレー本人も予想してなかったんだろうな、と思ってしまう。


 それはそれとして、キュビズムも、もとは「モノを球面と平面で存在を明確化する」ことから発して、「リアリティを出すために表面にモノを貼り付ける」という方向に進化していったのだとか。キュビズムの中の人が考えていたことが、まるまる百年経ってポリゴン職人が同様にトレースしてるってのは、面白いところではある。今のCGアートが抽象化の方向へ進んでいることも含めて、同じルートをたどっているように見えてしまう。
 ピカソ先生も21世紀に生きていたらCGアーティストになっていたのかもしれないなあ、とどうでもいいことを考えた。