西尾維新『偽物語』(上下)(講談社BOX)(ISBN:4062836793,ISBN:4062837021)

 読了。面白いけど、時間的にも金銭的にもコストパフォーマンスは激悪。
 語り手の阿良々木暦の妹二人、火憐と月火の物語……のはずなのだが、ひたすら掛け合いが続いて、話の本筋はほとんどどうでも良くなっている。文章の七割は戯言で、話の本筋に関わる部分だけ取り出すと短編にしかならない。ともかく勢いと思いつきが先行して、物語が後から追いかけていく感覚。掛け合いの部分が楽しく読めるかどうかで評価が分かれるのではないだろうか。もちろん、掛け合い至上主義者としては文句ないんですが。
 本筋で評価すべきは、上巻ではボスとのバトルシーンすら省略されているところ。下巻でもバトらなければもっとテンポよかったのに(それだと九割戯言になってしまうけど)。
 それにしても他人の歯を磨くシーンをあれほどエロく書ける西尾先生は本当にド変態だと思いました。