橘公司『蒼穹のカルマ(2)』(富士見ファンタジア文庫)

 id:sayumeに薦められて続刊を購入。
 1巻と比べて格段に文章が読みやすくなっている。が、読みやすいかどうかが問題になる小説じゃないでしょう、といわれた。いやまったく。
 蒼穹園騎士団の武会に参加することになった天才美少女騎士(このあたりが非常に90年代以前の香りがするんだよなあ)が、負けたいのになぜか負けられないコメディ。
 上げて、落とす、というコメディの基本に忠実でありながら、どこか話がズレている。不条理にならないぎりぎりのところで、突拍子もなさと意外性を追求し続けている感がある。確かに、これを薦められた理由が良く分かった。
 最近のライトノベルが、物語としての完成度や、人物描写のレベルをどんどん上げていった半面、こういった「変な」「予想の裏の裏をかくような」小説が生まれにくくなっているのではないか。不条理ギリギリの意外性というのは、本来ライトノベルが持っていた魅力の一つだったんじゃないだろうか。
 あと、今、一番アニメ化に近いライトノベルの一つであることは間違いない。