VENUS&STAPLER

 久々に良いMADを見た。
D
 ヴィーナス&ブレイブス×化物語
 V&Bとは、チョイスが渋すぎる。不老不死の主人公が、不老不死でない仲間たちと、100年間世界を守り続ける物語。戦死するか、寿命で引退するか、いずれにしても、どんなお気に入りの仲間でも必ず別れのときが来る。一部のサブキャラクター以外の登場人物は、みんな同じ顔、同じセリフの汎用キャラなのに、ゲームを進めていくうちに、プレイヤーの中で個性化されていく、という不思議なゲーム。
 今思うと、ある意味、書籍でも映像でも出来ないことを、V&Bは達成していたんじゃないかと思う。ゲームをプレイする、というプレイヤー側の働きかけを通じて、プレイヤーの脳内で、物語やキャラクターが作られていく、といったような。グラフィックだけ取れば、立ち絵のヴァリエーションは少ないし、画面に表示されるセリフも非常に限られている。しかし、V&Bは画面に表示されない「何か」を、プレイヤーが自分で補って、物語を作っていく余地を、意図的に広く作っていたのだと思う。最近の、分かりやすいストーリーを、美しくかつリアルなCGで、イケメンのキャラクターが活躍するようなRPGとは、正反対の作り方だ。
 プレイヤーの数だけキャラクターと物語が存在できるゲーム、というのは、最近ではずいぶん減った気がする。V&Bはそれをかなり極限まで推し進めてしまったがゆえに、プレイヤー間のコミュニケーションツールとしては、ほとんど機能しなくなってしまっていた。だから爆発的に売れることは、最初から無理だったのだと思う。
 それでも、作品を自分の中でじっくりと咀嚼して、世界を自らの内に作り上げていくことにかけては、ゲームというメディアは他の現存するどんなメディアよりも優れていると思うし、そのようなゲームに対するニーズは、いつの時代にもあると思うのだけれど。
 またPS2引っ張り出してやりたくなってきたなあ。