ヨーロッパユニバーサリスIII(PC,Paradox Interactive)

 昨日の続き。君主制と共和制の対立って、ヨーロッパ人にとってとても重要な概念らしい。日本人にはピンとこないけど。
 EU3の世界では、君主制の国では「正統性」という数値があって、王様が国民にどれだけ正統だと思われているか、を示している。不当な支配者だと思われれば、反乱は起きやすくなるわ、税金は集まりにくくなるわ、国外で悪い評価が増えるわで、良いことがないのである。正統性を上げるためには、他の国家から承認されていることを示すしかない。つまり、他の王家と婚姻関係を結ぶことになるのである(この辺の歴史館が非常に中世ヨーロッパ的である。「国王・公爵の社交界に入れる人間を、領民たちは正統だと見なしていた」なんて歴史感覚は、日本人にはない)。
 政略結婚のもう一つのメリット/デメリットは、他の王家の血が入ることで、国を乗っ取ったり乗っ取られたりするのである。国王に後継者が不在の場合、「より国威のある国」がその国の王位継承権を要求して、属国にしたり、併合したりできるのである。武力を使わずに国を奪えるのは非常に美味しい。もちろん、その逆もあって、自国の国威が低いと、婚姻先の国から王位継承権を要求されて属国化されてしまうかもしれないので、諸刃の剣ではあるのだが。この辺のバランスは非常にシビアなところだと思う。後で述べるように、下手すると他国の継承一発でゲームが終了してしまう可能性があるので……。
 そんなこんなで、昨日のように国内を統一したフランスは、当然のように君主制、それも絶対君主制を敷き、欧州の他の王室との姻戚関係を結びまくっていたのである。特に、後継者が決まっておらず、国王が老齢の国を狙って、(昔の『三国志』などと違って、婚姻関係を結べる数に上限はないので)ひたすら外交していると、なんと、東欧の最大勢力だったハンガリーがいきなりフランス領になってしまった。中世ハンガリー王国と言えば、今のドイツ南東部からポーランド南部、ハンガリーチェコスロバキアブルガリア北部までを領有する超大国である。国土が二つに分かれたとはいえ、圧倒的な国力を得たフランス=ハンガリー二重帝国(?)が成立したおかげで、欧州統一が現実のものとなりつつあった。
 まずはブリテン島北部のスコットランドと同盟を組むと、有り余る資金で軍艦を量産し、イギリス海軍をボコる。スコットランド・フランス・カスティーリャ連合によってロイヤルネイビーは壊滅。イングランドを征服。女王陛下は北米ケベックあたりに遷都した模様。英国首都ケベック、とは何の冗談かと。返す刀でオランダを叩き、北海の制海権を確保した。
 南北の憂いがなくなったフランス=ハンガリーは、東西から神聖ローマ帝国領に進出。しかし、この期に及んで、帝国内では宗教改革の結果プロテスタントになったオーストリアと、神聖ローマ皇帝であるボヘミア公が激しく争っていた……というあたりで、1670年代終了。まだあと150年も残ってるが、税収・軍の規模、技術開発で世界1位(フランス)と2位(カスティーリャ)ががっちり同盟を結んでいるのである。もはや負ける要素が見当たらない……はず。