有川浩『塩の街』(電撃文庫)(ISBN:4840226016)

読了。第十回電撃小説大賞受賞作。もともと短編?
人間の悪意とか絶望といった負の感情を描くのは上手いなあ。それに比べて「綺麗な恋愛」を書くときは窮屈そうだなあ。
まったくもって、後半がもったいない。
身体が塩の結晶に変化する奇病、というアイディア自体は悪くないはずなのに……前半と後半の印象が乖離しすぎててどうにも落ち着かない。
世界が終わった後の生活を描いた前半部は、悪くない出来だったのに、わざわざ後半でそれを180度ひっくりかえす必要があったのかどうか、というか、急に自衛隊とか英雄とか軍閥化とか言わないでもいいだろう、と。
で、本当にやりたかったのはどっちなんでしょうね?(あとがきを読むと後半じゃないかと不安になりますけど)