桑島由一『南青山少女ブックセンター(1)』(MF文庫J)(ISBN:4840111049)

id:USA3に借りて読了。ふむう、なかなか。
小説には設定で押すものと、展開で押すものと、ガジェットで押すものがあって、この本はどっちかというとガジェット勝ち。設定・展開はともに、よく言えば安定している、悪く言えばありがちで、いずれにせよ特筆すべきところがあるわけではない。
しかし、言い回しやガジェットの使い方は上手い。手馴れている。オトコノコとオンナノコを対比させ、八街と青山を対比させるその語り口は、田中哲也の「大久保町」シリーズを彷彿とさせる(めちゃくちゃ誉めてるんですよ)。過剰なリアクションと、その中で正論を吐く少年。一般にライトノベルと認識される作品の(良くまとまった)見本のような小説。