小松左京『果しなき流れの果に』(ハルキ文庫)

読了。今から50年近く前の作品だとは到底思えない。
導入が非常に巧妙。タイムとラベルとか時間改変とかオーバーロードとか宇宙意思とか、SFの主要な要素と考えられていたものをギュギュギュッと詰め込んだ感じで、非常にハッタリが利いてる。
ハッタリが利いているというのは、悪い意味ではなくて。SFやミステリでは、ハッタリとフカしは非常に重要。ディックやギブスンを読んだときも、「言葉の意味は良く分からんが、とにかくスゴい」何かを見せてくれた。ミステリでも、流水先生や西尾維新がハッタリに頼っているし。そう考えてみると、御手洗が「占い師」で、京極堂が「拝み屋」で、両方ともハッタリを商売道具にする職業についていた、というのは非常に暗示的かも。