(遡及的)上海の鉄オタスポット

 5月1日である。メーデーである。言うまでもなく中国は労働者のための社会主義国なので、5月1〜7日はゴールデンウィークで会社も、学校も、公的機関もお休みなのである。
 さて、せっかくの労働節なので、街に出かけてみた。何かメーデーっぽいことをしていないかと期待したのだが、人山人海があるばかりで、他には何もなかった。そもそも「労働者の革命的勝利」が達成された国でデモも決起集会もあろうはずがない。
 で、メーデーと言えば労組、労組といえば国鉄という連想で、上海鉄道博物館を訪れてきた。もともと、戦前の上海駅があった場所が、今では鉄路局の敷地となっており、その一角に数年前にできた博物館である(現在の上海駅は一駅東にずれている)。気分的には、今は無き秋葉原交通博物館を髣髴とさせる建物だった。前庭にSLが飾ってあるところとかも含めて。
 中国の鉄道はいまだにほとんど電化されておらず、大半がディーゼル車なので、「鉄道の歴史」というと、蒸気機関にさかのぼる。展示の大半は、清末から人民共和国成立前後までの、鉄道網の整備に当てられていた。20世紀初頭の段階で天津-南京の鉄道1800Kmを整備していたり、意外と初期の中国の鉄道計画は野心的だ。何しろ、孫文先生からして、鉄道大好きだったみたいだし。孫文が策定したという、鉄道開発予定図には、チベット・新疆・モンゴルまで含めた、壮大な鉄道網が描かれており、現在の中国の鉄道政策も、基本的にこのラインから大きく外れていない。さすが中国4000年。気の長い話である。
 鉄オタの中でも、スチームオタの人にはたまらない展示ばかりだったと思われる。あと、鉄道開発史の勉強としても、なかなかしっかりしていると思う。建物も新しいし、空いているし、「鉄の人」であれば一度行ってみる価値はあると思う。
 ちなみに、開館日時が変則的なので注意。


[データ]
上海鉄道博覧館 上海市天目東路200号
(地下鉄3号線宝山路駅から徒歩5分)
開館時間 火・木・金・土の9;30-16:30(連休中などは別途告知)
入館料 一人10元(2006年5月現在)