上海のガンマニアスポット

 連休中なので、せっかくだからあちこち出歩いてみることに。
 先日の鉄道博物館に続いて、今度は公安博物館に行ってみることに。ちなみに中国で言う「公安」は日本の「警察」に近いニュアンスであって、日本の「公安」とはちょっと違うので注意。
 市街の南の外れ、この間地下鉄が通ったばかりの住宅街の真ん中に、その博物館はあった。6階建ての真新しそうな建物で、警察署を一回り大きくしたようなサイズだった。もっとしょぼいものを予想していただけに、ちょっとびっくり。入り口には制服を着て銃を持った公安の人が立っているし。
 びくびくしながら入り口をくぐると、公安の人に呼び止められる。心臓が止まるかと思った。が、単に親切に入場チケット売り場を教えてくれただけだった。ロビーの売店がそのままチケット売り場にもなってるなんて、確かに教えてもらわないと分からない。
 常設展示は2Fから4Fまで。1フロアがかなり広いので、のんびり回っていると2、3時間かかってしまう。公安の歴史から始まって、科学捜査、消防、交通など、公安に関わる展示が続く(中国では消防も公安の管轄なのである)。
 科学捜査のコーナーでは、実際の事件現場の写真を、そのまま説明用パネルに使っていて、何というか、その、グログロのグチャグチャで一杯でした。展示物も、「これが死体をバラバラにした出刃包丁です」とか、「これが顔を潰された被害者の歯の骨です」とか、そんなのばっかり。げー。
 公安は金を持っているからなのかどうかは知らないが、消防や歴史のところにあったミニチュアはかなり精巧にできていた。特に、19世紀末から20世紀初頭の消防車やパトカーのミニチュアは、明らかに特注品で、マニアにはいい値段がつくのではないか。その筋の人ではないので、価値は良く分からなかったが。
 4Fの最後の所になって、「装備部」というコーナーがあった。公安の装備、というよりも、銃火器の展示場になっていて、まさにガンマニア垂涎の部屋だった。拳銃から自動小銃、ライフル、信号弾まで、軽火器であればほとんど揃っており、しかも、アメリカやヨーロッパ各国のメーカーの銃が所狭しと並んでいるのである。コルト、スミス&ウェトソン、ルガー、モーゼル、ワルサー、アストラと、もはや節操なし。
 いずれも今から30年〜80年ぐらい前の年代物ばかりだが、本当にこれが全部公安の装備品だったのか、と疑問に思う向きもあるかもしれない。
 が、この装備品のバリエーションこそが、上海の公安を象徴しているのである。現在の上海の公安は、元をたどれば上海租界の治安機構に由来している。そして、その上海租界の治安機構のメンバーは、イギリス・フランス・アメリカ・日本など共同租界を利用する各国から、それぞれ派遣されていた。
 結局、そのときの各国バラバラな装備が、後々に至るまで装備の不統一をもたらしたようである。無論、人民共和国成立後は、装備の統一が図られたはずなので、博物館に展示してある新しい銃は、単にコレクションとして飾ってあるだけかもしれないが。
 そうそう、コレクションの極みとして、孫文が持っていた装飾銃(アストラ製)が飾ってあった。装飾銃をまじまじと見たのは初めてだったので、いたく感心させられた。
 日本でもアレだけの銃火器が転がってる場所はあまり無いと思うので、ガンマニアが上海にきたら是非、行っておくべきだと思う。
 なお、博物館のホームページには、中国語、英語と並んで、日本語のページが用意されている。ひょっとして、日本でも有名なんでしょうか?


[データ]

上海公安博覧館 上海市瑞金南路518号
(地下鉄4号線大木橋路駅から徒歩10分)
開館時間 9;30-16:30?
入館料 大人8元、学生5元(2006年5月現在)
ホームページ:http://www.policemuseum.com.cn (日本語ページあり)