余論:中国の学園小説

 学園モノとファンタジー共同幻想については、中国に来ていろいろ思うところがあったので、別エントリで。日本の学園小説が変な形で輸入されたため、いろいろ中国では不思議なことになってしまっているので。
 学園小説は、今の中国ではひとつのジャンルを形成するぐらいヒットしている。SFやミステリの棚はなくても、「校園小説」の棚はどこの本屋にもあるぐらいに(というか、SFとミステリの棚は見たことがないです)。その大半は韓国のネット小説の単行本化の翻訳である。
 その韓国のネット小説は、日本の学園モノ(特にアニメ)の影響を受けているっぽい(韓国語が読めないので、あくまで中国翻訳を見ると、だが)。そこで繰り広げられている恋愛話は、あくまで日本風の学園を舞台としているのである。まあ、それはいい。韓国の高校生や中学生だって、日本とそんなに違った学生生活をしているわけではないのだから。
 それが中国に入ってくると、とたんに不思議な世界が発生する。中国の中学や高校はほぼすべて公立である。ちなみに、制服はない。生徒会なんてない。クラブ活動も日本ほど盛んではない。登下校のときは男女とも全員ジャージに赤いネッカチーフである。お金もあまり持ってないので、学校帰りにマックに寄ったりはできない。PCもない(携帯はあるけど)。
 そんな世界に、学園小説を放り込んで、なぜか売れているのである。どういうこと? と首を傾げざるを得ない。学園小説ってのは非常に多くの「暗黙の了解」を含んでいるわけで、その常識が通じないのに、読めるのだろうか。単に説明不足の異世界ファンタジーとほとんど差がなくなってしまうのではないか。それとも、こっちの学園小説読者(ほとんど女性だと思うが)は、日本アニメや韓国アニメで、「学園」という世界を理解しているのだろうか?(これが一番ありそうな答えだ)
 一番簡単に答を見つける方法は、当然、読者に直接インタビューなわけで。うーむ、やはり語学の修行が足りないなぁ……。