「ひぐらしのなく頃に/ひぐらしのなく頃に解」(7th Expansion,PC(同人))

 長かった「ひぐらし」もようやく終了。最後に残された52枚目のカケラも回収して、完全に終わった。
 ぶっちゃけ、「ひぐらし」の謎解きは、論理的には唯一解に絞ることが出来ない。ミステリとしては、問題の出し方からして問題大アリだ。たとえて言うなら表にマークシートが書かれた解答用紙だけを渡して、「さあ、問題を解きなさい」と言っておきながら、実は裏面の白紙を使って回答を書くのが正解だった、みたいなものだ。「問題が何であるのか?」を知ることが最大の「問題」なのだから、それが唯一の正解かどうかなんて分かるはずもない。まあ、そんなことは作者自身が一番分かっていて、「模範解答」が「最善の回答」であるかどうかなんて保証する気もないのだが。
 蛇足を付け加えるなら、清涼院流水を引き合いに出したくなる気持ちが良く分かった、と。別に悪い意味で言っているわけではない。純粋なミステリファンを敵に回しても、大風呂敷を広げられて、もう笑うしかなくなる面白さというものを追求するのだって、ありだとは思う。
 何と言っても、同人の最大のメリットは、何を書くか、いつまで書くか、どうやって書くかを、作者が納得する形で進められることだ。読者に反感をもたれるのも、読者を煙にまくのも、読者に何かを期待するのも期待しないのも、作者が(自己責任という範囲で)誰からも制約されずに書くことができる。
 だから、「鬼隠し篇」を読んだときの期待と異なる結末を迎えたからといって、さらさら非難する気にはならない。むしろ、最後の3話、「罪滅ぼし篇」「皆殺し篇」「祭囃し篇」で描かれた、少年漫画的で、御都合主義で、馬鹿馬鹿しいぐらい大風呂敷で、ロマンチシズム全開で、意地でも無茶でもハッピーエンドにしようとする……そんな書き方で、何だか小気味良い気持ちになってしまった。
 同人は、資本的な制約もあって、商業作品のような超大作(分量だけではなくて、手間や、クオリティコントロールや、販路や宣伝も含めた)はどうやったて作れない。滂沱の涙が止まらないような感動超大作も、圧倒的なスケールでど肝を抜くSFX超大作も作れるはずがない。……作る必要もない。そういうことをする人は、ちゃんと別の所にいるのだから。同人に出来ることは、そんな物凄いことではなく、ただ、自分の伝えたいことを、自分が納得できる形で送り出すことだけだ。それが他人に受け入れられるかどうかは、また別の問題として。
 そりゃ、もっとロジカルに、例えば「ノックスの十戒」や「ヴァン・ダインの二十則」みたいな良く知られているルールに則った解決が見られれば、それはそれで面白かったと思う。でもまあ、これはこれで、作者の本音っぽいものを、徹夜するぐらい面白く読めた。推理するのも、トンデモな解答も、雛見沢のキャラクターたちも、どれも楽しかった。それで十分。


 一言、本当の蛇足の感想をつけていいのなら……………………うらやましいなぁ(まだ懲りないのか)。