ロシア革命アニメーション〜ロシア・アヴァンギャルドからプロパガンダへ(UPLINK X)

 TMRのだわ氏から情報を得て、お茶会のhamada先生と一緒に見てきた。
 1920年ロシア革命直後から、1970年代米ソ冷戦までの、ソ連アニメ映画を集中的に18本見るイベント。ロシアアニメというと「チェブラーシカ」のような、詩的で美しい作品を想像するかもしれないが、実際にはもっとサイケでグロい。
 それもそのはず、ソ連共産党プロパガンダのために作った「共産主義バンザイ、資本家の犬どもは氏ね」というメッセージに溢れた作品ばかりだからだ。これを3時間連続で見るのは、結構つらい。一本一本は長くても30分未満のものばかりなのだが、その内容というか、密度というかがものすごい。昔のアニメなので、当然全てアナログで作っているのだが、手間と技術が(無駄な方向に)徹底的に研ぎ澄まされている感覚。じっと見ていると頭がくらくらしてきた。
 会場には、大学生ぐらいの、特に女の子が多かった気がする。漏れ聴こえてくる会話から、どこかの大学で課題映画として見て来いといわれたらしい。一体どこの先生が、どんな授業でこの映画を課題にしたのだろうか。学生が本当にスターリニズムに染まっちゃったらどうするのさ。
 見ていて思ったのが、「よく出来たニコニコ動画のMADみたいだ」という感想。最近の自分の頭の悪さをさらけ出すような感想だが、それはさておき、「何でニコニコMADみたい」と感じたのか、家に帰って考えてみると、

  1. セリフがない。基本的に字幕はあっても役者がセリフを当てていることがほとんどない。音楽が背景で流れるだけ。20年代の映画がサイレントなのは当然だが、70年代にいたっても、ある意味非常にサイレント映画に近い。
  2. コラージュが多い。ほとんどの作品で、アニメに実写を取り混ぜたコラージュの手法を使っている。
  3. 色使いが原色ばかり目がチカチカする。古い映画でフィルムが傷んでいるから、というわけではなく、特に(共産主義だから)赤色を各所で使っていて、目が疲れる。

 特に最初の二つの特徴が、今のアニメと大きく違っていて、新鮮なのと同時に、どことなく「うさんくさい」印象を与えていたように思う。あと、共産党バンザイ、ぐらいまでは理解が追いつくのだが、70年代の映画になると、何を言いたいのか理解できなくなってくる。アメリカを叩きたいのかもしれないが、それ以上にシュールで不条理に見えてならない。
 それを「ニコニコ動画っぽい」と表現してしまう自分の頭の悪さに猛省しつつ寝るのであった。