「劇場版新世紀エヴァンゲリオン:破」(庵野秀明総監督)

 いつもの面子でエヴァ破を見てきた。
 非常によくまとまった映画だった。動きはダイナミックだし、サービス精神旺盛だし、お約束のセリフはほとんどカバーしているし、伏線もちゃんと回収してるし、ちゃんと観客ほうを向いて映画が作られていたのがむしろ意外だった。われわれの知っているエヴァは、監督の自意識とか欲望とか自尊心とか後悔とか焦りとか不満とかその他いろいろドロドロしたものが溢れている魔女の釜みたいなものだったわけで。
 こんな、大人の理性で話を完全にコントロールできているエヴァを見せられたら、逆にどう反応していいのか戸惑ってしまう。もちろん、96年の段階で、「本来あるべきだった」姿はこっちではないのか、といわれたらその通りなのだが。エンタテインメントとしてあまりにガチで、それが逆に予想外だった。
 少年が巨大ロボットと出会うことで成長していくロボットアニメとしてみれば、非常に真っ当。ただ、そうなってしまうと、一緒に見に行ったS本先生が言っていたように、アスカの役割がなくなってしまうんだよなあ。アスカはシンジの「成長しない/したくない」ところに対するカウンターだったので、シンジが前向きだと、すごい空回りするキャラになってしまうわけで。途中で居場所を失うどころか、最初から浮きまくってるアスカは見ていて痛々しいというか、こんなキャラじゃなかったはずだというか、魅力半減は超残念というか。
 新キャラのマリはまだよく分からないまま、次に続いていた。今回は一部のキャラクターの死亡フラグを回避させているのが気になったぐらい。おかげでアノ人とかアノ人がリタイアせずに最終盤まで生き残っている。
 オチがどうなるのか気になってしまうのは、エヴァ世代だからしょうがないよね! またあと2年半もwktkしつつ待てるのかと思うとたまりませんな!