「KAIJI」(主演:藤原竜也、香川照之、天海祐希)

 割引券を持っているという友人に誘われ、雨の中見に行く。同行者はsayukとUSA3。
 原作は福本伸行のマンガ。あの濃ゆい絵がどんな風に演出されているのか興味を持って見に行った。
 一言で言うなら「きれいなカイジ」。原作の持っている、体中の汁という汁を垂れ流すような泥臭さや圧迫感がなく、さらりとした仕上げになっている。2時間の枠に収めるためか、限定じゃんけんや鉄骨渡りのギミックもずいぶん省略されてしまっていて、原作の持っているイヤになるぐらいの人間くささが減っている。ということは、つまりカイジがギリギリの状況で語る説教の説得力が半減しているということでもあり、福本節が好きな人が行くと拍子抜けするかもしれない。ただ、画面の構図は比較的原作に忠実なので、やっぱり原作を読んでいったほうが楽しめるとは思う。福本先生も特別に一瞬だけ出演しているし。
 一方で、役者の演技としては、利根川役の香川照之がまさに怪演としか言いようのない演技を見せていた。特にクライマックスの利根川VSカイジの最終戦では、顔のアップとモノローグだけで3分以上画面を持たせていた。この演義だけでもチケット代の半分ぐらいの価値はあるんじゃないだろうか。公式ページのトレーラーを見ても、明らかに主役の藤原を食ってしまっているし。原作の名ゼリフもほとんど再現されているところをみると、スタッフは利根川びいきだったんじゃないかとすら思えてくる。その割りに焼き土下座はなかったけど!
 アベックで見に来ている客が半分以上だったことも考えると(そして、上映後のコメントが「藤原竜也松山ケンイチが格好よかった!」だったことを考えると)、あまり期待せず見に行けばそれなりに楽しめるんだと思う。