新城カズマ『15×24』(Link1〜6)(集英社スーパーダッシュ文庫)

 読了。
 読み終わったら続刊を買う、というようにしていたら、Link4を探して東京中を彷徨うことになったので、4〜6までは一気読み(ちなみに、池袋のゲーマーズで1冊だけ残っていたのを発見しました)。
 ミステリのようでミステリではなく、冒険小説のようで冒険小説でなく、部分的には江戸川乱歩的な幻想小説でもあり、読後感は青春小説でもあった何とも奇妙な小説。新城カズマの面目躍如である。
 15人の人間の主観の入れ替わりで、2005年12月31日から、2006年1月1日まで24時間の事件を描写するという、アクロバティックな物語である。あとがきで作者もアメリカのドラマ『24』が念頭にあったことは認めているが、むさいおっさんではなく少年少女が理想と現実のギャップでもがく姿を『24』のような展開で描いているのは見事。登場人物についてはwikipediaに記事があるので、そっちを見ればいいと思うよ!
 むしろ、「どうして勝手に死んではいけないのか?」という作品のテーマは一貫していて、その枠内でやりたいことは何でもやってみた、というごった煮感。最後まで理論的に回収されない伏線は山のようにあるが(そして最終章でわざわざそれを指摘してみせているが)、事件のディテールを埋めることではなく、15人が冒頭の質問に、どのような答えを持つか、という一点に収束させている。読み終わった後、全体の構成を見直すと、その一点に収束させるためだけに、色々な仕掛けを打っていることが読めて、二度楽しめた。時間の表記の仕方とか、章の切り方とか。