「Fate/Stay Night 劇場版 Unlimited Blade Works」

 世間が「涼宮ハルヒの消失」を見るために並んでいるのに、御達者クラブ映画班の面々とFate劇場版を見に行く。そんな物好きはわれわれぐらいなものかと思ったら、意外と混んでいてびっくり。ちゃんと満席になっていた。
 しかし、完全に一見さんお断り。原作もテレビ版も見ずに劇場に行った人たちが混乱していた……が、彼らが一番楽しそうだったかも。
 映像としては、それほど新味もけれん味もなく、原作のUBWの筋をそのままのっぺりと流しつつ、各種名台詞を適当に配置したように見えた。ゲームで各ルートに分かれる前の共通部分を(テレビ版を参照という感じで)一瞬で終わらせたのは英断だとは思う。が、その後は本当に原作通りのシーンを飛び飛びにつないでいるだけになってしまっていて、初見殺し極まりない映画だった。原作の筋が頭に入っている月厨が、脳内の映像とスクリーンを対比させてニヤニヤする映画としては合格点だが、如何せん説明が足りなすぎて、脳内補完を強いるシーンが多すぎる。
 士郎の魔術が「強化」と「投影」であるとか、「凛のペンダント」が何かの説明が後回しにされたり、ギルガメッシュが聖杯を求める理由が省略されていたり、果ては何の説明もなく葛木先生が登場して大暴れして即死したり。
 一緒に行った友人が見終わった後、カメラアングルがアニメとしてあまり見栄えがしない、という話をしていたが、帰宅し後よく考えたら、あれは原作のイベント絵通りのアングルで映像化しているからだということに気付いた。その必要があったのか、他のアングルのカットを挟まなかったのか、という疑問はあるだろうけれど、一応、あの見栄えのしないカットばっかりだった理由はディーンのせいばかりではないのかもしれない。
 それにしても、せっかく劇場版にするのだから、全く新しい視点で作ってくれれば面白かったのかも。完全に凛視点で作るとか、士郎とアーチャーの話に絞って、聖杯戦争をもっとさらりと流すとか。
 次はHeaven's FeelがOVAで出るとかしないかのお。