「いばらの王」(制作:サンライズ、主演:花沢香菜)

 原作は岩原裕二のコミック。コミックビームから全6巻。
 全身が石化する奇病「メデューサ」から逃れるため、スコットランドの古城の地下に作られたコールドスリープ施設に入る人々。突如、冷凍睡眠から起こされた彼らに、異形の怪物たちが襲いかかる。生き延びた7人は地上を目指すが、そもそも今が何時なのか、外界がどうなっているのか全く分からない……。
 LOSTやプリズン・ブレイクなどのアメリカンテイストの設定で、「スチームボーイ」のスタッフが結集して(監督は差し替えて)作った作品。SF風ホラーが好きな人向きの設定である。異形の怪物はどこからきたのか? 絶対安全といわれた施設が、何故いばらに覆われているのか。病気の発症におびえ、仲間の行動に不信感を覚えつつ、地上への脱出劇を繰り広げている。
 これだけの設定を2時間弱でまとめるのはさすがに無理だったようで、最終局面で明かされるどんでん返しが、あまりに突拍子すぎて(いくつか伏線は張ってあったものの)、あっけに取られてしまった。ミステリにたとえると「名探偵が犯人の超絶トリックを鮮やかに暴いた! でも犯人の動機はさっぱり分からない」みたいなっ!
 気弱で内向的な女の子を演じている池澤香菜は、いい仕事をしていたと思います。
 あと、「スチームボーイのスタッフが集結」は宣伝文句としては微妙な気がします。大友克洋監督でもないんだしなあ。