「告白」(原作:湊かなえ)

 御達者倶楽部映画班の別働隊で見に行く。
「私の娘を殺した犯人はこの中にいます」
 R15指定が付いてしまった湊かなえの傑作ミステリの映画化。主役の女教師森口役には松たか子
 厨坊の厨坊的思考に対する厨坊的復讐の話。「厨」について議論する琴自体が非常に厨っぽいので、説明が難しい気がする。もう少し一般的に言うならば、少年の肥大した自意識と、それに伴う無力感を、学校と学校の外という、少年を取り囲む二重の世界とのギャップを通じて、残酷に抉り出している話である。とでもいえるのだろうか。
 子供を殺された親と、殺した子供の親。加害者と被害者。子供を失った母親と、母親を失った子供。と、非常に対照的な構図が繰り返されながら、淡々と物語が進んでいく。サスペンスとかカタルシスを期待する類の映画ではなく、淡々と狂った日常が続く映画だと思えば、オチていないオチにもそれほど不満は感じずにすむかも。ただ、最終盤の逆回しのシーンは、カットが長いわりにあまり意味がないんじゃないかなあ。尺延ばしに見えなくもなかったので。
 あと、空の風景描写と、暗示的な時計の画面が非常に長くて、あまりお金はかかっていなさそう。モブシーンも学校内なのでタカが知れていると思うし。