「AURA 魔竜院光牙最後の戦い」(岸誠二監督、田中ロミオ原作)

 TMR御達者倶楽部のお陰で舞台挨拶まで見てきた。岸監督は陽気なオッサンだった。でも、仕事場では冷静にキレて怖そうなイメージだった。
 「虫二病でも恋がしたい!」のパクリとさんざん言われているが、「虫二病〜」の第1巻が出たのが2011年6月、「AURA〜」が出たのが2008年7月なので、こちらのほうが圧倒的に古い。ガガガ文庫で、しかも単巻だったので、注目されなかったのと、アニメ化の順番で恵まれなかっただけで。
 原作小説と比べると、序盤の「青の魔女は何なのか?」という部分がすっ飛ばされて、いきなりラブコメから始まる。これについては、舞台挨拶で岸監督が「スクールカーストの話に集中した」「最終盤の演出は最初から決まっていた」と言っていたので、限られた時間と資金の集中投入が理由だったようだ。お金がないのはキャラクターが動かないところはまったく動かないのでもよく分かった。途中の演出が非常にいやらしいのだが、それはロミオだから仕方ない。むしろ、イジメの話を延々見させられても辛いので、ロミオのイヤ〜な暗さを、スラップスティックにならない範囲でよくあそこまで軽くしたと思う。
 佐藤一郎役の島崎信長が「アニメの表現は限界があるので原作も読んでNE!」と言ったときの、監督のいたたまれなさそうな表情が印象的でした。