森見登美彦『太陽の塔』(新潮社)(ISBN:410464501X)

2003年のファンタジーノベル大賞を今更ながらに。
もゆが言うところの「非モテ文学」の重要な一角を担っている森見登美彦について。
モテざるものは常にルサンチマンを胸に抱き、ルサンチマンを抱いているが故に彼は常にモテない。そんな話は新しいかと問われれば否と答えるしかない。ルサンチマンなんて、明治の初め頃から道端に掃いて捨てるほど転がっていた。オールドファッションだ。というか、非モテ文学自体がオールドファッションなのだが。
それにしても、なぜ非モテについて語る文体が、左翼(サヨクではなく)のアジテーションと似てしまうのだろうか。「モテざるもの」の文章は、「持てざるもの」の文学の後継者なのだろうか。森見登美彦滝本竜彦反白色テロル大連帯の文章から、同じ匂いを感じるのは僕だけだろうか。