浦沢直樹『Billy Bat』(1)(モーニングKC)(ISBN:4063728129)

 「PLUTO」が完結したばかりなのに、もう次の連載が本になったのか。
 戦争直後の重大未解決事件「下山事件」に巻き込まれる日系アメリカ人、という設定は、エンタテイメントとして非常に筋が通っていて、正しすぎるぐらい正しい。「20世紀少年」の序盤のような、奇怪な状況と謎の人物が畳み掛けてくるストーリーテリングもすばらしい。これは「PLUTO」と同じぐらい流行るんだろうなあ。
 しかし、最善手しか打たない相手と碁を打ってるような、どうにも腑に落ちない気分になるのは、自分がもう純粋な心で漫画が読めなくなったからなのだろうか。